なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 

「尼ロック 味玉らぁ麺 ¥1100」@らぁめん矢 ロックンビリースーパーワンの写真日曜日 晴天 9:45 待ちなし 後待ち19名

〝ラーメン紀行〟ならぬ〝ラーメン奇行〟

まだまだ終わりの見えない旅を続けている。

昨夜は和歌山市で老舗有名店でのラーメンのあと、和歌山駅前に宿をとって初めての和歌山の夜の街を徘徊してみた。すると運良くなのか分からないが、どの店も看板が早く深夜1時には行く当てもなくなってしまい不完全燃焼のままホテルに戻りベッドに入った。

結果としては良かったのか早朝6時には快調に目覚めた。そこで本日は更に西を目指そうとRDBを片手に捜索を始める。そこで第1ターゲットに選んだのが兵庫県だ。まずは総合ランキング兵庫県第1位を検索すると浮かんできたのがコチラだった。日曜日なので休業かも知れないので、お店情報を入念にチェックする。日曜日は昼の部だけだが営業されているようだ。しかも数年前に都内の赤坂の店には何度か行ってるが良い記憶しか残ってない。これは関西遠征二日目のトップを飾るには申し分なく相応しいと思い突撃初訪問を決意した。

かなりの人気店で日曜日という事もあり、出来るだけ早い現着を目指して急いでチェックアウトを済ませた。目の前の和歌山駅前に向かう途中で乗換ナビでルートを調べると、偶然にも乗換が一度しかないルートがあった。見知らぬ駅での乗換音痴が出ないように慎重に且つスピーディーに 7:49発 JR阪和線 紀州路快速 京橋行きに乗り込んだ。乗車の際に扉の開閉は手動ボタンを押すのだが、ホームで待っている先頭の乗客のほとんどがドアのサインが点灯する前からボタンに手を当てて待っているのを見て、和歌山の人はセッカチと言われるのが分かる気がした。

大阪駅での乗り換えも難なくこなしJR東海道 山陽本線 新三田行きにて無事に最寄りの塚口駅に着いた。開店の1時間半も前だったが、とにかく店へと向かってみた。

駅から10分ほど歩いて大きな公園を向かいの通りを進むと店主さんのお顔入りの看板が目に飛び込んできた。さすがにまだ行列もないので近隣の散歩でもと考えたが、コンビニすらありそうな気配がないので店先の軒下に置かれた外待ちイスに先頭で待機を始める。店舗は鉄製階段を上がった二階部分のようで外待ち席からは様子は見えない。退屈しのぎに周辺を眺めていると、斜向かいにもラーメン店がある事に気付いた。しかもそちらの屋号を見て思わず吹き出してしまった。

その名も「歌舞伎らーめん」となっている。コチラの屋号と掛け合わせると、まさしく「カブキロックス」となり、氏神一番が通りを歩いていそうである。そんな誰しもが思う事を楽しんでいると開店の10分前には行列も20名近くになっていた。

定刻ちょうどに奥様の案内で店舗のある二階へと誘導される。自動ドアを開けて店内に入ると有名な店主さんからカウンター奥へとの指示があった。券売機はあるが現在は稼働してないようなので、卓上メニューから基本らしきお題に味玉追加をホールの奥様に告げる。

ピリッとした空気の張りつめた緊張感のある店内をさりげなく見渡してみる。微かに流れるBGMが余計に緊張感をあおる。両サイドの短いコの字カウンターと中待ち席で客席は構成されている。そんな店内をご夫妻おふたりで切り盛りされている。そんな中でも特に目を惹くのはステージのような厨房だ。ガス台と麺茹で機と盛り場の間には空間が大きく取られている。導線的には理にかなってなさそうに見えるが、その余裕がご主人のリズムを作り出しているようだ。全ての調理工程が晒されている作業台には隠す事などひとつも無いと言わんばかりの見せっぷりだ。冷蔵庫に走り書きされた数学者のようなレシピ配合と、ご主人のロックテイストな姿が文武両道という言葉を思い浮かばさせる。

着席後、口頭で注文してからの10分程はご主人のステージ上でのチューニングを眺めて待つ事となる。本来ならば開店前に済ませておくべき具材のセットやスープや小鍋の準備だが、このステージ上ではその準備までもがパフォーマンスに見える。それは厳かな儀式のようでもある。全てのチューニングが完了すると、ゆったりとしたスローナンバーのように 1stロットが始動した。

あくまでご主人自身のペースで繰り広げられるパフォーマンスに身を委ねていると、一気に激しいロックが鳴り響いた。それが独特の〝パンチング湯切り〟だった。大型のテボを水平にストレートパンチを打ち出す湯切りスタイルだ。しかしそれが終わるとまたスローバラードのような丁寧な盛付けが行われる。そんな工程から生まれたラーメンが着席して15分ほどでようやく到着した。

その姿はシャープなデザインの有田焼の高台丼の中でビジュアルも美しく光り輝いている。液面に浮かぶ香味油の黄金のきらめきが眩しいくらいに光を跳ね返す。大胆に見えて繊細な盛付けが食欲を刺激する。具材の配置のバランスも見事で食前でステージレベルがひとつ上がった。

まずはスープをひとくち。先陣を切るのは香味油のオイリーな要素に隠れた地鶏由来の野趣あふれる香り。今では流行りの中心にあるような鶏と水のスープだが、他店のそれらとは一線を画す。香りは鶏主体だが、旨みの厚みが桁違いに深みがある。香味油に任せた香りはスープの邪魔をせず、添え物として目立ちすぎず風味を与えている。カエシの位置取りも抜群で高めギリギリのインハイをズバッと突いている。鶏油のコクや醤油ダレの塩気や酸味、それを支える鶏出汁の旨みと何一つ欠けてもいけないし、どれかが抜きん出ても成し得ないスープだ。全てのバランスが保たれたスープはかなりの高得点を叩き出す。

麺は中細ストレート麺で麺上げまで150秒くらいだろうか。少し長めに茹でられた麺は、やはり滑らかそうな麺肌がスープの中でも見てとれる。箸で拾うと割り箸の角でも捉えられないほどの滑らかな麺質。丼に出来るだけ顔を近づけて香りと一緒に箸先から麺を啜ってみる。鶏油が潤滑油となって勢いよく滑り込んできた麺は、スープの香りに負けないくらいに小麦も香っている。麺の内部ではなく麺肌に溶け出したグルテンの効果で香り高くなっているのだろう。このピンポイントにアジャストしてくる技術と経験の高さには驚きしかない。そんな麺だが歯応えの面では私の好みとは少し違っていた。滑らかさが秀でているため、奥歯のプレスから逃れようとする感覚が得意でないのだ。滑らかさと歯切れの良さが共存する麺の方が好みなだけに残念だった。

具材のチャーシューは計算し尽くされた仕上がり。薄くスライスされた豚肩ロースの低温調理で醤油や塩などの味付けは非常に抑えてある。しかし白胡椒などのスパイスがソミュール液にふんだんに使われているので、味は薄いが味気なく感じない見事な設計図。薄味ならではの豚肩ロースの赤身の持ち味が、これ以上ない程に引き出されている。あまりに旨すぎて途中で追加したいほどだった。

さらに味玉にも驚かされた。柔らかな色づきの白身に歯を立てた瞬間は薄味すぎて寂しく思えたが、濃厚な黄身を味わい飲み込んだ次の瞬間に今まで感じた事のない香味が口の中に広がった。それはカニのような甲殻類の香りだった。その後味はまるで上海料理のカニ玉のようだ。これまた薄味ながら個性を打ち出した素晴らしい逸品に出会えた。

穂先メンマも柔らかく下処理が行われている。味付けも他の具材と同じく醤油などの味付けは控えめで麻竹本来の発酵臭を残してある。独特な香りと食感のアクセントは他では表すことの出来ない具材だ。具材の全てに言えるのは、味の出し入れが素晴らしいと言う事だ。ご主人は足し算の達人でもあり、引き算の達人でもあるのだろう。

薬味のネギにも緻密な計算がされている。香りはフレッシュな青ネギの小口切りが担当し、甘みと食感は程よく熱の入った粗切りの白ネギが担っている。両者ともに持ち味を発揮している。また、地鶏主体のスープに合わされがちな三つ葉を使われていないのも好印象。香り高いスープに香りの強い薬味をぶつける必要がないと思う。

目の前の 2ndロットの完成を待たずに完食完飲していた。誰ひとりとして言葉を発せない雰囲気の中では、ごちそうさまを言うことすら阻まれる。後続のことを考えて余韻に浸ることなく勘定をして席を立ったが、心の中では、思いの込もったラーメンをありがとうございました、と手を合わせて店を出た。

本当に私の狭い好みの問題なのだが、麺が好きな食感だったら関西初の90点の大台を軽く突破していたと思う一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

まだコメントがありません。