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2017年6月20日の大崎裕史の今日の一杯

東京都新宿区牛込神楽坂

4月7日にオープンした新店。具がのらない澄まし麺と醤油かけ麺の二つのメニューでデビューし、話題をさらったことは記憶に新しい。出汁(スープというよりは出汁)があっさりで実においしいく、ラーメンのスープ作りではなく、和食の出汁の取り方なのだろう。この店が「冷やし」を出したら面白いな、とずっと思っていた。それが6月19日から「涼し麺」750円として発売されたと聞いてすぐに駆けつけた。
電車に乗りながら、「この店が冷やしを出すとしたらどんなんだろう?」と考えていた。すっきり和風出汁の冷やしラーメンだと予想していたので、出てきたラーメンのビジュアルを見て、正直驚いた。冷やし中華ではないようだけど、汁無し系である。醤油かけ麺と仕上がりは近い。もちろん麺の太さや味の付け具合はまるで違うが「スープがない」という店では一緒。でも、酸味や甘味が無い分、冷やし中華とは差別化できる。麺の不揃いな感じにもちょっと驚いたが(ここの繊細さで言えば、麺を揃えて出すかと思った)その旨さにも驚いた。澄まし麺を食べたときの衝撃に近い。「こんなにシンプルなのにこのうまさは何!?」
冷やしでも実においしい。タレ(スープではないのでこのような呼び方にするしかない)も最後まで飲める濃さ。そんな濃さなのに、麺を食べてちゃんと味がのってるというのはすごいことである。
ただ、澄まし麺の時も感じたがシンプルでうまい故の問題として満腹感になりにくい。ここはご飯を頼むか、サイドメニューに行くことになる。ラーメン好きなら連食か。あるいは澄まし麺の半麺という手もある。ラーメン的発想からは出てこない創作力。これは面白い。しばし、満席状態が続いていたのでもはや人気も定着したのだろう。
どうやら、別添えの具の中の豚肉は無くなった様子。なので葱と海苔のみ。
それとランチ時はテーブル席を使わないので空いている。なのに、暑い中、外で待たせるのがどうかと思う。これは何らかの形で改善して欲しい。暑いから「涼し麺」を食べに来ているのに・・・。

お店データ

澄まし麺ふくぼく

東京都新宿区神楽坂5-7(牛込神楽坂)

日本酒バー「蒼穹(そうきゅう)」のランチタイム営業の二毛作。店名の「ふくぼく」は、荘子の彫琢復朴(ちょうたくふくぼく)という言葉からきており「余計なものをそぎ落として本来の状態に戻る」という意味。「澄まし麺」はあっさりとした和出汁に菅野製麺所の細麺。「醤油かけ麺」はまぜめん。

大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンショー実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2015年12月末現在約23,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。